簿記 仕訳とは?借方、貸方、仕訳の仕方、ルールをわかりやすく解説~簿記3級独学講座

簿記の仕訳の借方、貸方、仕訳の仕方、ルール解説

簿記では、「商品売上」「商品仕入」「不動産購入」「消耗品の購入」など、資産、負債、資本、収益、費用に増減をもたらす取引が発生する都度、これらの取引を帳簿に記録していく必要があります。

しかし、現実のビジネスでは「A社に商品を値引いて1個100円で売り上げた」、「B社から商品仕入れたが、今月から現金仕入れから掛け仕入れに変わった」、「本社ビルを建設する契約をしたが、完成は来年の予定」、「事務机を購入したが安かったので全額一度に経費で落とせる」など色んな事象が発生します。

これらの帳簿への記録をルールを決めずに行っていたのでは、同じ事をしても人によって表現が異なり、他人が見たときに意味を取り違えてしまう可能性があります。

そこで簿記では、同じ取引は誰が処理しても同じ記録として残るよう、記録方法についてルール化しています。このルールを「仕訳」と言います。

最終の貸借対照表、損益計算書にたどり着くまでの流れは、「取引(※)」→「仕訳」→「勘定記入」→「試算表」→「貸借対照表、損益計算書」になります。

※資産、負債、資本、収益、費用のいずれかに増減をもたらす変化。

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仕訳のルール・法則

仕訳のルールは、資産、負債、資本、収益、費用のそれぞれの要素の増減が生じる取引をどの要素の借方(左側)と、どの要素の貸方(右側)に記録すべきかを定めていることを言います。

しかし、資産、負債、資本、収益、費用のそれぞれの要素には色々な項目があり、「資産が増えた」、「負債が減った」というだけでは資産の現金が増えたのか、売掛金が増えたのか、負債の買掛金が減ったのか、借入金が減ったのか、何が増減したのか分かりません。
そこで、簿記では資産、負債、資本、収益、費用のそれぞれについて、勘定科目で細分化し。勘定科目で記帳することにしています。

すなわち仕訳とは、取引を「勘定科目」と「金額」の2つの側面で考え、「勘定科目」と「金額」で記録する方法です。

勘定科目

資産に属する主な勘定科目
現金、当座預金、普通預金、定期預金、受取手形、電子記録債権、売掛金、商品、製品、貯蔵品、前渡金、仮払金、立替金、未収入金、前払保険料、前払利息、前払家賃、未収利息、未収配当、未収家賃、建物、建物附属設備、構築物、車両運搬具、土地、敷金、差入保証金、貸付金、投資有価証券など

負債に属する主な勘定科目
支払手形、電子記録債務、買掛金、前受金、借入金、未払金、預り金、仮受金、未払税金、未払保険料、未払利息、前受利息、前受家賃、預り保証金、賞与引当金など

資本に属する主な勘定科目
資本金、資本準備金、利益準備金、利益剰余金など

収益に属する主な項目
売上、受取利息、受取配当金、受取家賃、受取手数料、雑益、固定資産売却益、投資有価証券売却益など

費用に属する主な勘定科目
仕入、売上原価、給料、賞与、法定福利費、引当金繰入、広告宣伝費、運送費、事務用品費、旅費交通費、減価償却費、通信費、消耗品費、水道光熱費、修繕費、保険料、支払家賃、租税公課、支払利息、固定資産売却損、固定資産除却損、法人税・住民税及び事業税など

借方・貸方

借方(左側)・貸方(右側)への記載については、記録する際に取引の要素が資産、負債、資本、収益、費用のいずれに属するかによって、さらに資産、負債、資本の要素が増えたか減ったか、収益、費用の要素が発生か取り消しかにより、借方に記載するか、貸方に記載するかが決められています。

①資産に属する勘定科目の増加は借方、減少は貸方
②負債に属する勘定科目の増加は貸方、減少は借方
③資本に属する項目の増加は貸方、減少は借方
④収益に属する項目の発生は貸方、取り消しは借方
⑤費用に属する項目の発生は借方、取り消しは貸方

なお複式簿記では、取引を結果と原因の二面でとらえ、両者の関係を考慮して記録します。

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仕訳の仕方 具体例

(1)普通預金に100,000円の出資を受け入れて株式会社を設立した。
この取引では、普通預金(資産)100,000円の増加と資本金(資本)の増加100,000円が起こるため、仕訳は次のようになります。

(借) 普通預金 100,000円 (貸) 資本金 100,000円

(2)資本金100,000円では資金が足りないので、銀行から200,000円を借り入れ、普通預金に入金された。
この取引では、普通預金(資産)200,000円の増加と借入金(負債)の増加200,000円が起こるため、仕訳は次のようになります。

(借) 普通預金 200,000円 (貸) 借入金 200,000円

(3)商品を30,000円で仕入れ、掛け払いとした。
この取引では、商品(資産)が増え、買掛金(負債)が増えますので、仕訳は次のようになります。

(借) 商品 30,000円 (貸) 買掛金 30,000円

(4)商品を80,000円で掛け販売した。
この取引では、売上(収益)が80,000円発生し、売掛金(資産)80,000円が増加します。また、商品(資産)がなくなり、商品が売上原価(費用)に変わります。

(借) 売掛金 80,000円 (貸) 売上 80,000円
(借) 売上原価 30,000円 (貸) 商品 30,000円

(5)ガス代1,000円、水道代2,000円、電気代3,000円の請求書がきた。
この取引では、水道光熱費(費用)が6,000円発生し、請求代金は未だ支払っていないので未払金(負債)が増加し、仕訳は次のようになります。

(借) 水道光熱費 6,000円 (貸) 未払金 6,000円

(6)給料を50,000円普通預金から支払った。
この取引では、給料(費用)が50,000円発生し、普通預金(資産)が50,000円減少しますので、仕訳は次のようになります。

(借) 給料 50,000円 (貸) 普通預金 50,000円

(7)10,000円のパソコンを購入し、普通預金から振り込んで支払った。
この取引では、備品費(費用)が発生し、普通預金(資産)が10,000円減りますので、仕訳は次のようになります。

(借) 備品費 110,000円 (貸) 普通預金

(8)借入金の返済期日に20,000円と利息1,000円が普通預金から一緒に引き落としされた。
この取引では、借入金(負債)が減少するとともに、支払利息(費用)の発生が生じ、結果として普通預金が21,000円減少しますので、仕訳は次のようになります。

(借) 借入金 20,000円 (貸) 普通預金 20,000円
(借) 支払利息 1,000円 (貸) 普通預金 1,000円

なお、借方もしくは貸方に同じ勘定科目がくる場合は、合算しますので、仕訳は次のようになります。

(借) 借入金 20,000円 (貸) 普通預金 21,000円
(借) 支払利息 1,000円

このように、借方または貸方に2つ以上の勘定科目がくる仕訳を「複合仕訳」といいます。

(9)建物を100,000円で購入し、支払いは10回の分割払いとし、初回の支払いは購入時に普通預金から行った。
この取引では、建物(資産)が100,000円増加するとともに、初回支払い分の普通預金(資産)が減少し、残代金として未払金(負債)が90,000円増加しますので、仕訳は次のようになります。

(借) 建物 100,000円 (貸) 普通預金 10,000円
未払金 90,000円

(10)建物を賃貸し、敷金500,000円を預かり、現金で今月分の家賃を15,000円、翌月分の家賃30,000円を受領した。
この取引では、現金(資産)が545,000円増加するとともに、敷金の預りとして預り保証金(負債)500,000円が増加し、今月の受取家賃(収益)15,000円が収益として発生し、翌月分の前受家賃(負債)30,000円が増加しますので、仕訳は次のようになります。

(借) 現金 545,000円 (貸) 預り保証金 500,000円
前受家賃 30,000円
受取家賃 15,000円