取引の勘定記入・勘定口座の書き方(仕訳の転記)、記帳の仕方、記帳方法~簿記3級独学講座

取引の勘定記入・勘定口座の書き方(仕訳の転記)

企業の資産、負債、資本、収益、費用は、経営活動による取引が生じるごとに変化していきますが、簿記ではこの変動の過程や結果を明らかにするために借方の要素と貸方の要素に分解し、仕訳をします。

しかし、取引の数は膨大にあるため仕訳をしただけでは、仕訳に使われた勘定科目の金額の集計に手間がかかります(仕訳だけでは、その時々の現金残高や売掛金残高、仕入計上額などはすぐに分かりません。)。

勘定科目の残高(貸借対照表科目)、計上額(損益計算書科目)をすぐに知るためには、仕訳の都度、取引金額を勘定科目ごとに集計しておく必要があります。

勘定科目ごとにまとめる場所を「勘定口座」または「勘定」といい、仕訳した結果を勘定口座に記入します。
簿記では、仕訳内容を勘定口座へ記入することを転記といいます。

簿記上の取引 → 仕    訳 → 勘定口座への転記

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取引の勘定記入・勘定口座の書き方、転記の仕方

勘定口座への転記は規則的に行われる必要があり、勘定口座ではプラス、マイナスの符号により勘定科目の増減を記録するのではなく、記入の位置を左右に二分して借方と貸方に分け、増加と減少を区別して記載します。

すなわち、仕訳の借方に記入された金額は、借方の勘定科目の勘定口座の借方に転記し、仕訳の貸方に記入された金額は、貸方の勘定科目の勘定口座の貸方に転記します。
さらに、取引の日付と仕訳の相手勘定科目も記入します。

なお、仕訳で相手勘定科目が複数ある時は、通常は個別に相手勘定を記入することはなく、「諸口」と記入します。

具体的には、次のようになります。

<<画像をクリックすると拡大します>>

このように勘定口座はT字型をしていることから、学習においてはT勘定と呼ばれたりします。

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取引の勘定記入・勘定口座の書き方 練習問題

次の取引について、仕訳を作成し、勘定口座へ記入してください。商品仕入に関する仕訳は3分法による処理とします。

(1)4月1日:資本金5,000,000円で会社を設立し、資金は普通預金に入金した。
・仕訳

(借) 普通預金 5,000,000円 (貸) 資本金 5,000,000円

・勘定口座への転記

(2)4月5日:経費支払用に普通預金から現金300,000円を出金した。
・仕訳

(借) 現 金 300,000円 (貸) 普通預金 300,000円

・勘定口座への転記

(3)4月10日:銀行から1,000,000円を借り入れ、普通預金に入金された。
・仕訳

(借) 普通預金 1,000,000円 (貸) 借入金 1,000,000円

・勘定口座への転記

(4)4月20日:掛けで3,500,000円の商品の仕入れをした。
・仕訳

(借) 仕 入 3,500,000円 (貸) 買掛金 3,500,000円

・勘定口座への転記

(5)4月23日:商品を掛けで5,000,000円売り上げた。
・仕訳

(借) 売掛金 5,000,000円 (貸) 売 上 5,000,000円

・勘定口座への転記

(6)4月25日:給料1,200,000円を普通預金から支払った。
・仕訳

(借) 給 料 1,200,000円 (貸) 普通預金 1,200,000円

・勘定口座への転記

(7)4月27日:出張旅費10,000円を現金で立て替え払いした。
・仕訳

(借) 仮払金 10,000円 (貸) 現 金 10,000円

・勘定口座への転記

(8)4月28日:200,000円の営業車を1台購入し、翌月末払いとした。
・仕訳

(借) 車両運搬具 200,000円 (貸) 未払金 200,000円

・勘定口座への転記

(9)4月29日:A社に対し1,500,000円貸し付け、普通預金から振り込んだ。
・仕訳

(借) 貸付金 1,500,000円 (貸) 普通預金 1,500,000円

・勘定口座への転記

(10)4月30日:建物を3,000,000円で購入し、支払いは普通預金から振り込んだ。
・仕訳

(借) 建 物 3,000,000円 (貸) 普通預金 3,000,000円

・勘定口座への転記

(11)5月1日:インターネット、電話代の請求書50,000円がきたので現金で支払った。
・仕訳

(借) 通信費 50,000円 (貸) 現 金 50,000円

・勘定口座への転記

(12)5月3日:ゴミ袋や掃除道具をスーパーで購入し30,000円を現金で支払った。
・仕訳

(借) 消耗品費 30,000円 (貸) 現 金 30,000円

・勘定口座への転記

(13)5月7日:商品を1,800,000円仕入れ、掛けとした。
・仕訳

(借) 仕 入 1,800,000円 (貸) 買掛金 1,800,000円

・勘定口座への転記

(14)5月10日:商品を2,800,000円で販売し、掛けとした。
・仕訳

(借) 売掛金 2,800,000円 (貸) 売 上 2,800,000円

・勘定口座への転記

(15)5月11日:売掛金3,500,000円が振込手数料1,100円を差し引いて普通預金に振り込まれた。
・仕訳

(借) 普通預金 3,498,900円 (貸) 売掛金 3,500,000円
(借) 支払手数料 1,100円

・勘定口座への転記

売掛金の相手勘定が複数ありますので、5月11日の売掛金の勘定口座に記入する科目名は通常、「諸口」とします。

(16)5月15日:電気代13,000円をコンビニで現金で支払った。
・仕訳

(借) 水道光熱費 13,000円 (貸) 現 金 13,000円

・勘定口座への転記

(17)5月18日:水道代30,000円の請求書がきたが、翌月の支払いとした。
・仕訳

(借) 水道光熱費 30,000円 (貸) 未払金 30,000円

・勘定口座への転記

(18)5月20日:借入金の一部100,000円を支払利息1,000円とともに普通預金より支払った。
・仕訳

(借) 借入金 100,000円 (貸) 普通預金 101,000円
(借) 支払利息 1,000円

・勘定口座への転記

(19)5月25日:給料1,500,000円を普通預金から支払った。
・仕訳

(借) 給 料 1,500,000円 (貸) 普通預金 1,500,000円

・勘定口座への転記

(20)5月26日:運転資金のために9,000,000円を借り入れ、普通預金に入金された。買掛金5,000,000円を普通預金から支払った。
・仕訳

(借) 普通預金 9,000,000円 (貸) 借入金 9,000,000円

・勘定口座への転記

(21)5月27日:4月27日の仮払旅費が9,500円で確定し、500円の返金を現金で受けた。
・仕訳

(借) 旅費交通費 9,500円 (貸) 仮払金 10,000円
(借) 現 金 500円

・勘定口座への転記

仮払金の相手勘定が複数ありますので、5月27日の仮払金の勘定口座に記入する科目名は通常、「諸口」とします。

(22)5月28日:買掛金3,500,000円を普通預金から振り込みで支払った。なお、振込手数料880円は仕入先負担とした。
・仕訳

(借) 買掛金 3,500,000円 (貸) 普通預金 3,500,000円

・勘定口座への転記

(23)5月30日:貸付金の一部300,000円が利息5,000円とともに普通預金に振り込まれた。
・仕訳

(借) 普通預金 305,000円 (貸) 貸付金 300,000円
(貸) 受取利息 5,000円

・勘定口座への転記

普通預金の相手勘定が複数ありますので、5月30日の普通預金の勘定口座に記入する科目名は通常、「諸口」とします。

(24)5月31日;4月28日に購入した営業車の未払金200,000円を普通預金から支払った。
・仕訳

(借) 未払金 200,000円 (貸) 普通預金 200,000円

・勘定口座への転記

このように日々の仕訳の都度、各勘定口座に転記することで、いつでもすぐに勘定科目の残高、計上額が把握できるようになります。

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