商品(棚卸資産)の期末評価。棚卸減耗損、商品評価損の求め方、仕訳
商品販売で得た利益は、売上高から売上原価を控除して計算されますが、売上原価は、「期首商品棚卸高+当期商品仕入高-期末商品棚卸高」により計算されますので、期末商品の金額が変われば売上原価が変わり、利益も変わります。
商品の有り高は商品有高帳などの帳簿により管理されていますので、期末には原則として帳簿通りの数量が存在するはずです。
しかし実際には、盗難や紛失、仕入計上や出荷記録誤りにより商品の実際残高数量と帳簿残高数量は異なることが多々あります。この場合、会社の利益が正確に計算されませんので期末に実地棚卸をして商品の実際有高を帳簿に反映するようにします。
さらに、決算では商品の仕入価格(取得原価)と期末時価(正味売却価額)を比較し、期末時価が取得原価を下回る場合は、期末時価まで評価を下げることが必要になります。
期末の最終の商品棚卸高は、商品ごとの「商品単価×実際数量」、売上原価は期末の最終の商品棚卸高に基づき計算したものになりますが、次の順序で計算されます。
①帳簿棚卸資産残高に基づく売上原価の計算
②棚卸減耗損の計算(商品を実際数量に合わせる)
③実際棚卸資産数量に基づく時価評価による商品評価損の計算
④次期繰越商品(貸借対照表価額)の計算
⑤損益計算書上の表示区分の決定
ここでは、商品を実際数量に合わせる方法、商品評価損の求め方、仕入(売上原価)勘定への振替仕訳、損益計算書での表示について解説します。
棚卸減耗損の求め方、仕訳、損益計算書の表示
商品の実地棚卸をし実際数量と帳簿数量が異なる場合、帳簿を実際数量に合わせますが実際数量が帳簿数量より多い場合は、商品勘定を増やし、相手勘定は、3分法(3分割法)では「仕入」勘定、売上原価勘定を使用する方法や売上原価対立法では「売上原価」勘定で処理し売上原価を減らします。
一方、実際数量が帳簿数量より少ない場合は、商品勘定を減らすとともに「棚卸減耗損」勘定で費用処理し、売上原価を増やします。
簿記2級の検定では商品の実際数量が帳簿数量より少ない場合(棚卸減耗損が発生する場合)が出題対象となりますので、棚卸減耗損が発生する場合を解説します。
設例
商品Aの帳簿上の数量は100個ですが、棚卸の結果実際数量は80個であることが判明しました。商品Aの1個あたりの帳簿価額は10,000円とします。
(借) | 棚卸減耗損 | 200,000円 | ※1 | (貸) | 繰越商品 | ※2 | 200,000円 |
※1 150円×(100個-90個)=1,500円
※2 売上原価対立法では「商品」となります。
現金過不足の項目で解説したように、帳簿と実際が異なる場合、簿記においては必ず帳簿を実際に合わせます。これは帳簿は常に会社の実際を表さないといけないという考えからです。
棚卸資産も同じで、帳簿数量と実際数量が異なる時は必ず帳簿を実際数量に合わせ、帳簿が会社の実際を表すようにします。
棚卸減耗損の損益計算書での表示区分
棚卸減耗損の損益計算書での表示区分は、①棚卸減耗が売上をあげるために不可避的に発生すると思われるもの(原価性あり)は売上原価の内訳科目、②原価性あるもののうち企業努力で減らせると思われるものは販売費、③臨時的(原価性なし)かつ多額であるときは特別損失、原価性なく①~③以外のものは営業外費用となります。
なお損益計算書で棚卸減耗損を売上原価に区分するも、売上原価の内訳科目としてで区分表示しない場合、次の仕訳をします。
3分法(3分割法)
(借) | 仕 入 | 200,000円 | (貸) | 棚卸減耗損 | 200,000円 |
売上原価を売上原価勘定で処理する方法
(借) | 売上原価 | 200,000円 | (貸) | 棚卸減耗損 | 200,000円 |
売上原価対立法
(借) | 売上原価 | 200,000円 | (貸) | 棚卸減耗損 | 200,000円 |
①棚卸減耗損を売上原価の内訳科目として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 1,000,000 | |
差引 | 1,500,000 | |
4.棚卸減耗損 ※2 | 200,000 | 1,700,000 |
売上総利益 | 1,300,000 |
※1 棚卸減耗損計上前の金額になります。
※2 差引の金額に加算します。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 800,000 ※3 |
※3 800,000円=1,000,000円(商品帳簿価額)-200,000円(※2)
②棚卸減耗損を販売費として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 | 1,000,000 | 1,500,000 |
売上総利益 | 1,500,000 | |
Ⅲ.販売費及び一般管理費 | ||
1.棚卸減耗損 | 200,000 |
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 800,000 ※ |
※ 800,000円=1,000,000円(商品帳簿価額)-200,000円(棚卸減耗損)
③棚卸減耗損を特別損失として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 | 1,000,000 | 1,500,000 |
売上総利益 | 1,500,000 | |
Ⅲ.販売費及び一般管理費 | ||
営業利益 | ||
Ⅳ.営業外収益 | ||
Ⅴ.営業外費用 | ||
経常利益 | ||
Ⅵ.特別利益 | ||
Ⅶ.特別損失 | ||
1.棚卸減耗損 | 200,000 |
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 800,000 |
④棚卸減耗損を営業外費用として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 | 1,000,000 | 1,500,000 |
売上総利益 | 1,500,000 | |
Ⅲ.販売費及び一般管理費 | ||
営業利益 | ||
Ⅳ.営業外収益 | ||
Ⅴ.営業外費用 | ||
1.棚卸減耗損 | 200,000 |
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 800,000 |
実地棚卸により商品の実際数量が帳簿数量より多い場合の売上原価の求め方、仕訳、損益計算書の表示
実地棚卸により商品の実際有高と帳簿数量に不一致がある場合、実際の数量が帳簿数量より多いこともありますが、この場合も帳簿の数量を実際に合わせる処理をします。
実際数量が帳簿数量よりも多いので、商品を増やし、売上原価を減らす処理になります。
設例
商品Aの帳簿上の数量は100個ですが、棚卸の結果実際数量は130個であることが判明しました。商品Aの1個あたりの帳簿価額は10,000円とします。
(借) | 繰越商品 | 300,000円 | ※1 | (貸) | 仕入(売上原価) | 300,000円 |
※1 10,000円×(130個-100個)=300,000円
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※2 | 1,300,000 | 1,200,000 |
売上総利益 ※3 | 1,800,000 |
※2 商品の実際有高による金額になります。
130個×10,000個=1,300,000円
※3 期末商品が300,000円増えた分だけ売上総利益が増加しています。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 1,300,000 ※4 |
※4 1,300,000=1,000,000(商品帳簿価額)+300,000(期末商品増加分)
商品評価損の求め方、仕訳、損益計算書の表示
棚卸資産は期末において取得原価と時価(正味売却価額)を比較し、時価が取得原価より低い場合(収益性低下の場合)は、時価により評価し、時価と取得原価との差額は「商品評価損」として費用処理します。
(1)時価が取得原価より低い場合(時価<取得原価)
商品の実際数量80個、商品1個あたり取得原価10,000円の時価(正味売却価額)8,000円の場合。
(借) | 商品評価損 | 160,000円 | ※ | (貸) | 繰越商品 | 160,000円 |
※ 160,000円=80個×(10,000円-8,000円)
商品評価損の計算は、時価の下落額に帳簿数量ではなく実際数量を乗じることに注意が必要です。減耗して存在しない商品に対し評価損を計上する必要が無いためです。
(2)時価が取得原価より高い場合(時価>取得原価)
商品の実際数量80個、商品1個あたり取得原価10,000円の時価(正味売却価額)12,000円の場合。
仕訳無し。
時価が取得原価より高い場合は、収益性の低下が発生していないため評価替えはしません。
商品評価損の損益計算書での表示区分
商品評価損の損益計算書での表示区分は、①原則として売上原価の内訳科目とし、②発生が臨時的かつ多額であるときは特別損失となります。
なお損益計算書で評価損を売上原価に区分するも、売上原価の内訳科目としてで区分表示しない場合、次の仕訳をします。
3分法
(借) | 仕 入 | 160,000円 | (貸) | 商品評価損 | 160,000円 |
売上原価を売上原価勘定で処理する方法
(借) | 売上原価 | 160,000円 | (貸) | 商品評価損 | 160,000円 |
売上原価対立法
(借) | 売上原価 | 160,000円 | (貸) | 商品評価損 | 160,000円 |
①商品評価損を売上原価の内訳科目として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 800,000 | |
差引 | 1,700,000 | |
4.商品評価損 ※2 | 160,000 | 1,860,000 |
売上総利益 | 1,140,000 |
※1 商品評価損計上前の金額になります。
※2 差引の金額に加算します。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 640,000 ※4 |
※4 640,000=1,000,000(※1)-160,000(※2)
②商品評価損を特別損失として表示する場合
損益計算書 | ||
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 800,000 | 1,700,000 |
売上総利益 | 1,300,000 | |
Ⅲ.販売費及び一般管理費 | ||
営業利益 | ||
Ⅳ.営業外収益 | ||
Ⅴ.営業外費用 | ||
経常利益 | ||
Ⅵ.特別利益 | ||
Ⅶ.特別損失 | ||
1.商品評価損 | 160,000 |
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 640,000 |
棚卸減耗損と商品評価損の両方が計上される場合の損益計算書での表示
棚卸減耗と収益性低下の両方がある場合、
①帳簿棚卸資産残高に基づく売上原価の算定
②棚卸減耗損の算定
③実際棚卸資産数量に基づく時価評価による商品評価損の算定
④次期繰越商品(貸借対処表価額)の算定
⑤損益計算書上の表示区分の決定
の順で計算していきます。
設例1
商品Aの帳簿上の数量は100個ですが、棚卸の結果実際数量は80個であることが判明しました。また、商品1個あたり取得原価10,000円ですが、商品1個あたりの時価(正味売却価額)は8,000円でした。
売上高3,000,000円、期首商品棚卸高500,000円、当期商品仕入高2,000,000円とした場合で、棚卸減耗損、商品評価損とも売上原価の内訳科目として処理する場合の決算整理仕訳を(1)3分法と(2)売上原価対立法で示すとともに、損益計算書での売上原価の表示を示しなさい。
決算整理仕訳
(1)3分法
①売上原価の算定
(借) | 仕 入 | 500,000円 | (貸) | 繰越商品 | 500,000円 |
(借) | 繰越商品 | 1,000,000円 | (貸) | 仕 入 | 1,000,000円 |
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 棚卸減耗損 | 200,000円 | (貸) | 繰越商品 | 200,000円 |
(借) | 商品評価損 | 160,000円 | (貸) | 繰越商品 | 160,000円 |
(2)売上原価対立法
①売上原価の算定
仕訳無し。
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 棚卸減耗損 | 200,000円 | (貸) | 商 品 | 200,000円 |
(借) | 商品評価損 | 160,000円 | (貸) | 商 品 | 160,000円 |
損益計算書
Ⅰ.売上高 | 3,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 500,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,500,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 1,000,000 | |
差引 | 1,500,000 | |
4.棚卸減耗損 | 200,000 | |
5.商品評価損 | 160,000 | 1,860,000 |
売上総利益 | 1,140,000 |
※1 棚卸減耗損、商品評価損計上前の金額になります。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 640,000 ※2 |
※2 640,000=1,000,000(商品帳簿価額)-200,000(棚卸減耗損)-160,000(商品評価損)
設例2
商品Aの帳簿上の数量は100個ですが、棚卸の結果実際数量は90個であることが判明しました。また、商品1個あたり取得原価15,000円ですが、商品1個あたりの時価(正味売却価額)は13,000円でした。
売上高5,000,000円、期首商品棚卸高700,000円、当期商品仕入高3,500,000円とした場合で、商品評価損は売上原価の内訳科目として処理、棚卸減耗損は販売費として処理する場合の決算整理仕訳、売上原価に関連する部分の精算表を(1)3分法と(2)売上原価対立法で示すとともに損益計算書での売上原価の表示を示しなさい。
決算整理仕訳
(1)3分法
①売上原価の算定
(借) | 仕 入 | 700,000円 | (貸) | 繰越商品 | 700,000円 |
(借) | 繰越商品 | 1,500,000円 | (貸) | 仕 入 | 1,500,000円 |
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 棚卸減耗損 | 150,000円 | (貸) | 繰越商品 | 150,000円 |
(借) | 商品評価損 | 180,000円 | (貸) | 繰越商品 | 180,000円 |
(2)売上原価対立法
①売上原価の算定
仕訳無し。
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 棚卸減耗損 | 150,000円 | (貸) | 商 品 | 150,000円 |
(借) | 商品評価損 | 180,000円 | (貸) | 商 品 | 180,000円 |
損益計算書
Ⅰ.売上高 | 5,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 700,000 | |
2.当期商品仕入高 | 3,500,000 | |
計 | 4,200,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 1,500,000 | |
差引 | 2,700,000 | |
4.商品評価損 | 180,000 | 2,880,000 |
売上総利益 | 2,120,000 | |
Ⅲ.販売費及び一般管理費 | ||
1.棚卸減耗損 | 150,000 |
※1 棚卸減耗損、商品評価損計上前の金額になります。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 1,170,000 ※2 |
※2 1,170,000=1,500,000-150,000(棚卸減耗損)-180,000(商品評価損)
設例3
商品Aの帳簿上の数量は200個ですが、棚卸の結果実際数量は220個であることが判明しました。また、商品1個あたり取得原価10,000円ですが、商品1個あたりの時価(正味売却価額)は7,000円でした。
売上高6,000,000円、期首商品棚卸高1,000,000円、当期商品仕入高3,000,000円とした場合で、棚卸減耗損、商品評価損とも売上原価の内訳科目として処理する場合の決算整理仕訳を(1)3分法と(2)売上原価対立法で示すとともに、損益計算書での売上原価の表示を示しなさい。
決算整理仕訳
(1)3分法
①売上原価の算定
(借) | 仕 入 | 1,000,000円 | (貸) | 繰越商品 | 1,000,000円 |
(借) | 繰越商品 | 2,000,000円 | (貸) | 仕 入 | 2,000,000円 |
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 繰越商品 | 200,000円 | (貸) | 仕 入 | 200,000円 |
(借) | 商品評価損 | 660,000円 | (貸) | 繰越商品 | 660,000円 |
(2)売上原価対立法
①売上原価の算定
仕訳無し。
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 商 品 | 200,000円 | (貸) | 売上原価 | 200,000円 |
(借) | 商品評価損 | 660,000円 | (貸) | 商 品 | 660,000円 |
損益計算書
Ⅰ.売上高 | 6,000,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 1,000,000 | |
2.当期商品仕入高 | 3,000,000 | |
計 | 4,000,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 2,200,000 | |
差引 | 1,800,000 | |
4.商品評価損 ※2 | 660,000 | 2,460,000 |
売上総利益 | 3,540,000 |
※1 | 商品の実地棚卸により在庫が増えた時、損益計算書は期末商品棚卸高を実際数量に基づく金額で計上することで調整します。 実地棚卸数量による取得原価の金額(220個×@10,000)になります。 |
※2 | 商品評価損は商品在庫全てに計上するため実際数量に基づき計算します。 660,000=220個×(@10,000-@7,000) |
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 1,540,000 ※3 |
※3 1,540,000=2,000,000(商品帳簿価額)+200,000(実地棚卸による増加)-660,000(商品評価損)
設例4
商品Aの帳簿上の数量は200個ですが、棚卸の結果実際数量は170個であることが判明しました。また、商品1個あたり取得原価10,000円ですが、商品1個あたりの時価(正味売却価額)は12,000円でした。
売上高3,500,000円、期首商品棚卸高600,000円、当期商品仕入高2,000,000円とした場合で、棚卸減耗損、商品評価損とも売上原価の内訳科目として処理する場合の決算整理仕訳を(1)3分法と(2)売上原価対立法で示すとともに、損益計算書での売上原価の表示を示しなさい。
決算整理仕訳
(1)3分法
①売上原価の算定
(借) | 仕 入 | 600,000円 | (貸) | 繰越商品 | 600,000円 |
(借) | 繰越商品 | 2,000,000円 | (貸) | 仕 入 | 2,000,000円 |
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 繰越商品 | 300,000円 | (貸) | 仕 入 | 300,000円 |
期日時価が取得原価を超えるため商品の評価替え仕訳無し。
(2)売上原価対立法
①売上原価の算定
仕訳無し。
②棚卸減耗損、商品評価損の計上
(借) | 棚卸減耗損 | 300,000円 | (貸) | 商 品 | 300,000円 |
期日時価が取得原価を超えるため商品の評価替え仕訳無し。
損益計算書
Ⅰ.売上高 | 3,500,000 | |
Ⅱ.売上原価 | ||
1.期首商品棚卸高 | 600,000 | |
2.当期商品仕入高 | 2,000,000 | |
計 | 2,600,000 | |
3.期末商品棚卸高 ※1 | 2,000,000 | |
差引 | 600,000 | |
4.商品評価損 | 300,000 | 900,000 |
売上総利益 | 2,600,000 |
※1 棚卸減耗損、商品評価損計上前の金額になります。
貸借対照表 | |
Ⅰ.流動資産 | |
商 品 1,700,000 ※2 |
※2 1,700,000=2,000,000(商品帳簿価額)-300,000(棚卸減耗損)