法人税等(法人税、住民税及び事業税)、未払法人税等の処理、仕訳 簿記3級独学講座

法人税等(法人税、住民税及び事業税)、仮払法人税等、未払法人税等の処理、仕訳

株式会社は、当期に計上した税引前利益に法人税率を乗じて計算される法人税(国税)を支払う義務があります。

また地方税として、法人税の額に基づき課税される住民税と税引前利益に基づき計算される事業税の支払い義務があります。

さらに法人税や住民税、事業税の金額が一定額以上である場合、翌期において中間納付を行う必要があります。

ここではこのような利益に基づき課税される法人税等(法人税、住民税及び事業税)、仮払法人税等、未払法人税等の処理、仕訳について解説します。

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法人税、住民税及び事業税

簿記では、法人税や住民税、事業税のように税引き前の利益に基づき課税される種類の税金をまとめて「法人税、住民税及び事業税(または「法人税等」)」という勘定科目(費用)により処理します。

また、法人税等は決算において計算され、決算日後の納税申告書の提出以後に支払いますので、法人税等の相手勘定は未払法人税等勘定(負債)により処理します。

法人税、住民税及び事業税=税引前当期純利益(収益-法人税、住民税及び事業税を除く費用)×税率

設例
決算において収益1,000,000円、法人税、住民税及び事業税を除く費用400,000円となった。法人税等の税率は35%。

(借) 法人税、住民税及び事業税
(もしくは法人税等)
210,000円 (貸) 未払法人税等 210,000円

(1,000,000円-400,000円)×35%=210,000円

法人税、住民税、事業税は正確には、税引前当期純利益をもとに調整計算された税法上の課税所得にそれぞれの税率を乗じて計算します。この調整計算では簿記の計算において処理された収益や費用を減算したり、特定の収益や費用を加算したりします。
よって、基本的に税引前当期純利益と課税所得は一致しません。

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法人税、住民税及び事業税の中間納付の処理、仕訳

法人税や住民税、事業税の金額が一定額以上である場合、前年の決算日の日から6ヶ月経過後の2ヶ月以内(前期の決算日から8ヶ月以内)に中間納付を行う必要があります。
年に一度の回の納税では決算時にまとめて大きな税負担が発生してしまうため、税負担を分散させることが目的です。

中間納付を行った時は、仮払法人税等勘定(資産)により処理します。

なお、この中間納付額は、決算で計上される法人税等(法人税、住民税、事業税)の支払額から控除されます。

設例1
(1)20×1年の決算(決算日12月31日)において、当期純利益が1,000,000円計上され、法人税等の税率35%で税金を計算した。中間納付は行っていない。

(借) 法人税、住民税及び事業税
(もしくは法人税等)
350,000円 (貸) 未払法人税等 350,000円

1,000,000円×35%=350,000円

(2)20×2年2月25日に確定申告を行い、法人税、住民税及び事業税350,000円を普通預金から支払った。

(借) 未払法人税等 350,000円 (貸) 普通預金 350,000円

(3) 20×2年8月18日に中間申告を行い、法人税、住民税及び事業税を175,000円、普通預金から支払った。

(借) 仮払法人税等 175,000円 (貸) 普通預金 175,000円

(4) 20×2年の決算(決算日12月31日)において、当期純利益が1,500,000円計上され、法人税等の税率35%で税金を計算した。中間納付は行っていない。

(借) 法人税、住民税及び事業税
(もしくは法人税等)
525,000円 (貸) 未払法人税等 350,000円
(貸) 仮払法人税等 175,000円

設例2
(1)20×1年の決算(決算日12月31日)において、当期純利益が1,000,000円計上され、法人税等の税率35%で税金を計算した。中間納付は行っていない。

(借) 法人税、住民税及び事業税
(もしくは法人税等)
350,000円 (貸) 未払法人税等 350,000円

(2)20×2年2月25日に確定申告を行い、法人税、住民税及び事業税350,000円を普通預金から支払った。

(借) 未払法人税等 350,000円 (貸) 普通預金 350,000円

(3) 20×2年8月18日に中間申告を行い、法人税、住民税及び事業税を175,000円、普通預金から支払った。

(借) 仮払法人税等 175,000円 (貸) 普通預金 175,000円

(4) 20×2年の決算(決算日12月31日)において、当期純利益が300,000円計上され、法人税等の税率35%で税金を計算した。中間納付は行っていない。

(借) 法人税、住民税及び事業税
(もしくは法人税等)
105,000円 (貸) 仮払法人税等 175,000円
(借) 未収法人税等 70,000円

中間納付額が決算で計上される税額より大きい場合は、未収法人税等を計上し、税金が還付された時に取り消します。

(5) 20×3年2月10日に未収法人税等が還付され、普通預金に入金された。

(借) 普通預金 70,000円 (貸) 未収法人税等 70,000円

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