貸付金、借入金、利息・利子の計算方法、仕訳、会計処理 簿記3級独学講座

貸付金、借入金とは?貸付金、借入金、利息・利子の計算方法、仕訳

事業をしてると資金繰りの関係で銀行などからお金を借りることがありますが、他の企業にお金を貸すこともあります。

お金の貸主は貸付金額や貸付期間、返済方法、金利、利払い日、担保、保証人などの貸付条件を書いた契約書を作成し、借主に渡します。契約書の代わりに借主が手形を振り出すこともあります。

なお、貸付期間中は金利が発生し、利息の受取、支払が発生します。

ここでは、貸付金、借入金、役員貸付金、役員借入金、貸付利息(受取利息)、借入利息(支払利息)の仕訳・会計処理について解説します。

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貸付金、借入金の仕訳、会計処理

簿記においては、他の会社や個人にお金を貸したときに発生する債権(将来、回収することのできる権利)を貸付金(資産)で処理し、お金を借りた時に発生する債務(将来、返済しなければならない義務)を借入金(負債)で処理します。

なお、資金の貸し借りにおいて手形が振り出されることがあり、借主が約束手形を振り出し、貸主が約束手形を受け取りますが、このような融資を目的とした手形を金融手形といいます。
金融手形の処理については「手形貸付・手形借入の仕組み、仕訳」を参照してください。

お金を貸したとき

お金を貸すことで、お金を返してもらう権利が発生しますので、貸付金勘定の借方に記帳します。

取引、仕訳例
5月1日、ABC株式会社に対し1,000,000円を貸し付け、普通預金から出金した。

(借) 貸付金 1,000,000円 (貸) 普通預金 1,000,000円

貸付金を返してもらったとき

お金を返してもらったことで、お金を返してもらう権利が消滅しますので、貸付金勘定の貸方に記帳します。

取引・仕訳例
8月31日、ABC株式会社から1,000,000円の貸付金の返済として普通預金に入金された。

(借) 普通預金 1,000,000円 (貸) 貸付金 1,000,000円

お金を借りたとき

お金を借りることで、お金を返さなければならない義務が発生しますので、借入金勘定の貸方に記帳します。

取引・仕訳例
5月1日、XYZ株式会社から1,000,000円を借り入れ、普通預金に入金された。

(借) 普通預金 1,000,000円 (貸) 借入金 1,000,000円

借入金を返したとき

お金を返したことで、お金を返さなければならない義務が消滅したので、借入金勘定の借方に記帳します。

取引・仕訳例
8月31日、XYZ株式会社に1,000,000円の借入金の返済として普通預金から出金した。

(借) 借入金 1,000,000円 (貸) 普通預金 1,000,000円

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貸付利息(受取利息)、借入利息(支払利息)の仕訳・会計処理

お金の貸し借りにおいては、借主は契約に基づき貸主に利息を支払い、貸主は借主から利息を受け取りますが、貸主は利息を受け取った時に受取利息(収益)で処理し、借主は利息を支払った時に支払利息(費用)で処理します。

利息の受け払いの時期

利息をいつ支払い、受け取るかについては契約に基づきますが、概ね次の3つのパターンが多いです。
(1)先払い・前払い
契約時に契約期間にわたる利息を全額を支払い、受け取ります。

(2)後払い
返済期間の最終日に利息の全額を支払い、受け取ります。

(3)分割払い
1ヶ月や3ヶ月、半年ごとなどに利息を支払い、受け取ります。

利息の計算方法

簿記の検定においては、年利率を用いて利息金額を計算します。お金の貸し借りの期間が1年に満たない場合は、月割りや日割りにより利息を計算します。

計算例
(1)1,000,000円の金銭の貸借について年利5%の年間利息。
1,000,000円×5%=50,000円

(2) 1,000,000円の金銭の貸借について年利5%の3ヶ月間の利息。
1,000,000円×5%×3ヶ月/12ヶ月=12,500円

貸付利息(受取利息)、借入利息(支払利息)の取引・仕訳例

(1)20×1年5月1日、返済期日を20×2年4月30日として1,000,000円を貸し付けた。なお、金利は年利3%、利息は貸付時に全額受け取る条件とし普通預金より利息を差し引いて相手の当座預金口座へ振り込んだ。
決算処理は考慮せず、利息は受取時、支払時に処理する。

20×1年5月1日
貸主

(借) 貸付金 1,000,000円 (貸) 普通預金 970,000円
(貸) 受取利息 30,000円

借主

(借) 当座預金 970,000円 (貸) 借入金 1,000,000円
(借) 支払利息 30,000円

(2) 20×2年4月1日、20×1年5月1日に借り入れた1,000,000円の返済として普通預金から貸主の普通預金に振り込んた。

20×2年4月30日
貸主

(借) 普通預金 1,000,000円 (貸) 貸付金 1,000,000円

借主

(借) 借入金 1,000,000円 (貸) 普通預金 1,000,000円

(3) 20×2年5月1日、返済期日を20×3年4月30日として2,000,000円を貸し付けた。なお、金利は年利3.5%、利息は貸付の返済時に全額受け取る条件とし普通預金より相手の当座預金口座へ振り込んだ。
決算処理は考慮せず、利息は受取時、支払時に処理する。

20×2年5月1日
貸主

(借) 貸付金 2,000,000円 (貸) 普通預金 2,000,000円

借主

(借) 当座預金 2,000,000円 (貸) 借入金 2,000,000円

(4) 20×3年4月30日、20×2年5月1日に借り入れた2,000,000円の返済として普通預金から貸主の普通預金に利息とともに振り込んた。

20×3年4月30日
貸主

(借) 普通預金 2,030,000円 (貸) 貸付金 2,000,000円
(貸) 受取利息 30,000円

借主

(借) 借入金 2,000,000円 (貸) 借入金 2,030,000円
(借) 支払利息 30,000円

(5) 20×3年5月1日、返済期日を20×4年4月30日として3,000,000円を貸し付けた。なお、金利は年利1%、利息は半年後、貸付の返済時に受け取る条件とし普通預金より相手の当座預金口座へ振り込んだ。
決算処理は考慮せず、利息は受取時、支払時に処理する。

20×3年5月1日
貸主

(借) 貸付金 3,000,000円 (貸) 普通預金 3,000,000円

借主

(借) 当座預金 3,000,000円 (貸) 借入金 3,000,000円

(6) 20×3年10月31日、20×3年5月1日に貸し付けた貸付金の利息が借主の普通預金から当社の普通預金口座へ振り込まれた。

20×3年10月31日
貸主

(借) 普通預金 15,000円 (貸) 受取利息 15,000円

借主

(借) 支払利息 15,000円 (貸) 普通預金 15,000円

(7) 20×4年4月30日、20×3年5月1日に借り入れた3,000,000円の返済として普通預金から貸主の普通預金に利息とともに振り込んた。

20×4年4月30日
貸主

(借) 普通預金 3,015,000円 (貸) 貸付金 3,000,000円
(貸) 受取利息 15,000円

借主

(借) 借入金 3,000,000円 (貸) 借入金 3,015,000円
(借) 支払利息 15,000円

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役員貸付金、役員借入金の仕訳、会計処理

会社の取締役や監査役など会社内部の役員にお金を貸したとき、会社内部の役員からお金を借りた時は、一般の貸付借入と区別するために役員貸付金、役員借入金勘定で処理します。

取引・仕訳例1
5月1日、代表取締役社長に1,000,000円を貸し付け、普通預金から出金した。

(借) 役員貸付金 1,000,000円 (貸) 普通預金 1,000,000円

8月31日、代表取締役社長に対する貸付金全額と利息50,000円が普通預金に振り込まれた。

(借) 普通預金 1,050,000円 (貸) 役員貸付金 1,000,000円
(貸) 受取利息 50,000円

取引・仕訳例2
5月1日、監査役から2,000,000円を借り入れ、普通預金に入金された。

(借) 普通預金 2,000,000円 (貸) 役員借入金 2,000,000円

8月31日、監査役からの借入全額と利息50,000円を普通預金から支払った。

(借) 役員借入金 2,000,000円 (貸) 普通預金 2,050,000円
(借) 支払利息 50,000円

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