受取配当金仕訳、有価証券利息の計算方法(端数利息、日数の数え方)わかりやすく 商業簿記2級独学講座

有価証券利息の端数利息、日数の数え方、計算方法、受取配当金の仕訳

ある会社の発行する社債や公社債を取得すると、社債や公社債に付いているクーポンにより利息を受け取ることができます。

クーポンには利息の期日が記載されており、期日の到来した利札は、通貨代用証券として簿記では現金として処理するとともに、有価証券利息(収益)を計上します。

(借) 現  金 ××× (貸) 有価証券利息 ×××

しかし、社債や公社債を売買する場合、利払い日と売買の日が必ずしも一致しないため、社債、公社債を売却する人、購入する人の利息(端数利息)の計上方法が問題になります。

ここでは、社債や公社債の利払い日と異なる日に売買がされた時の有価証券利息計算方法(端数利息、日数の数え方)、受取配当金の仕訳についてわかりやすく解説します。

なお、有価証券利息、受取配当金いずれも損益計算書では、営業外収益に計上されます。

スポンサーリンク

有価証券利息の端数利息の計算

端数利息とは、社債、公社債などの債券の売買が利払い日と異なる場合、債券の買主が売主に支払う経過利息のことをいいます。

例えば、A社社債(額面5,000,000円、年利3%、利払い日6月末、12月末)を9月15日に売買する場合、買主は9月15日から12月末までの3か月半しか所有していませんが半年分の利息を受け取ります。一方売主は、前回の利払い日以降2か月半ほど債券を所有していますが利息を受け取れません。
これを調整するために売主は、債券を売却した日に期日の到来していない利札を渡す代わりに、2か月半分の利息を買主より受け取り、買主は、債券を購入した日に期日の到来していない利札を受け取る代わりに、2か月半分の利息を売主に支払います。

この調整のための利息を端数利息といい、原則として次のように計算します。

端数利息=債券の額面金額×年利率×直前の利払い日の翌日から売買日当日までの日数÷365日

※ 端数利息の計算は当事者間である程度自由に決めることができます。そのため簿記の検定では問題文の指示に従うことになります。

設例1
(1)20×1年10月1日にA社社債を投資目的で950,000円で取得し、端数利息15,000円とともに現金で支払った。利払い日は、6月末と12月末である。

(借) その他有価証券 950,000円 (貸) 現 金 965,000円
(借) 有価証券利息 15,000円

(2)20×1年12月31日、A社社債の利払い日となり、利息30,000円を現金で受け取った。

(借) 現 金 30,000円 (貸) 有価証券利息 30,000円

(3)20×2年1月31日にA社社債を920,000円で売却し、売却日までの端数利息5,000円とともに現金で受け取った。

(借) 現 金 925,000円 (貸) その他有価証券 950,000円
(借) 有価証券売却損 30,000円 (貸) 有価証券利息 5,000円

設例2
短期間の売買による利益獲得を目的として額面10,000円につき9,500円で購入したA社社債(額面5,000,000円、年利3%、利払い日6月末、12月末)を9月15日に額面10,000円につき9,800円で売却し現金を受け取った場合。買主も短期間の売買による利益獲得を目的として債券を購入。

売主
売却時

(借) 現 金 4,931,643円 (貸) 売買目的有価証券 4,750,000円 ※1
(貸) 有価証券売却益 150,000円 ※2
(貸) 有価証券利息 31,643円 ※3

※1 5,000,000円×9,500円÷10,000円=4,750,000円
※2 5,000,000円×(9,800円-9,500円)÷10,000円=150,000円
※3 5,000,000円×3%×77日÷365日=31,643円

買主
購入時

(借) 売買目的有価証券 4,900,000円 (貸) 現 金 4,931,643円
(借) 有価証券利息 31,643円

※ 5,000,000円×9,800円÷10,000円=4,900,000円

利払い日

(借) 現 金 75,000円 (貸) 有価証券利息 75,000円

※ 5,000,000円×3%×6か月÷12か月=75,000円

スポンサーリンク

設例3
(1)20×1年12月1日にA社社債(額面1,000,000円、年利率3%、利払い日3月末、9月末、償還日20×6年1月31日)を投資目的で950,000円で取得し、端数利息とともに現金で支払った。
額面金額と取得価額の差50,000円は金利調整差額であり、償却原価法(定額法)を適用する。
会計期間は1月1日から12月31日である。

20×1年12月1日

(借) その他有価証券 950,000円 (貸) 現 金 955,095円
(借) 有価証券利息 5,095円

※ 1,000,000円×3%×62日÷365日=5,095円

(2)20×1年12月31日(決算日)における時価は980,000円であった。
①償却原価法

(借) その他有価証券 1,000円 (貸) 有価証券利息 1,000円

※ (1,000,000円-950,000円)×1か月(12月)÷50か月=1,000円

②時価評価

(借) その他有価証券 29,000円 (貸) その他有価証券評価差額金 29,000円

※ 980,000円-950,000円-1,000円=29,000円

③有価証券利息

(借) 未収収益 7,500円 (貸) 有価証券利息 7,500円

※ 1,000,000円×3%×3ヶ月(10月~12月)÷12ヶ月=7,500円

(3)20×2年1月1日
時価評価洗替

(借) その他有価証券評価差額金 29,000円 (貸) その他有価証券 29,000円

経過勘定戻し

(借) 有価証券利息 7,500円 (貸) 未収収益 7,500円

(4)債券の利払い日(20×2年3月31日)に、利息を現金で受け取った。

(借) 現 金 15,000円 (貸) 有価証券利息 15,000円

(5)20×2年5月31日にA社社債を980,000円で売却し、売却日までの端数利息とともに現金で受け取った。

(借) 現 金 985,013円 (貸) その他有価証券 951,000円
(貸) 有価証券利息 5,013円
(貸) 有価証券売却益 29,000円

スポンサーリンク

受取配当金の仕訳

株式を取得し会社の株主になると、会社の利益の分配を受けることができるようになります。これを配当といいますが、配当を受け取った時は受取配当金勘定で仕訳します。

設例
株式を保有するA社の株主総会で配当が決議され、普通預金に配当100,000円が振り込まれた。

(借) 普通預金 100,000円 (貸) 受取配当金 100,000円

株式の所有者に配当金が支払われますが、会社は特定の日に株式を保有する株主にだけ配当の支払いをすることができ、この特定の日を基準日といいます。
多くの会社では期末配当と中間配当の年2回の配当があり、期末配当は株主総会決議により、中間配当は取締役会決議で決められます。いずれの配当も基準日があり、配当が支払われる日に株主であっても基準日に株主でなければ、配当を受け取ることはできません。