買掛金元帳（仕入先元帳）の書き方、締め切り方、記入例
買掛金元帳とは、仕入先元帳とも呼ばれ、仕入先別の買掛金明細を把握するための補助簿（補助元帳）で、総勘定元帳の買掛金勘定の内訳明細となります。
そのため、全ての仕入先に買掛金元帳が作成されている場合、買掛金元帳の買掛金残高の合計は総勘定元帳の買掛金残高の金額と一致します。
総勘定元帳には基本的に日付と相手科目、金額しか記載されませんが、買掛金元帳（仕入先元帳）には、これらの他、簡単な取引内容や引取運賃、支払条件などが記載されます。
ここでは買掛金元帳（仕入先元帳）の書き方、締め切り方、記入例を事例を交えて解説します。
買掛金元帳（仕入先元帳）の書き方、締め切り方
(1)日付欄
買掛金の発生した日付順に月日を記入します。同じページで月が同じであれば日付だけを記載します。日付が同じであれば「〃」を記入します。
なお、摘要欄、金額については、「〃」を使用しません。
(2)摘要欄
買掛金の支払条件や支払方法、引取運賃など買掛金の発生または支払に関する取引内容を簡単に記入します。
(3)借方欄、貸方欄
借方欄には買掛金の支払額を、貸方欄には買掛金の発生額を記載します。
返品や値引き、仕入割戻しがあった場合は、借方欄に記入するか、貸方欄にマイナス表記します。
(4)借または貸欄
残高欄の金額が借方残高なのか貸方残高なのかを示します。借方残高の場合は「借」、貸方残高の場合は「貸」と記入します。
買掛金残高が借方残高ということは、買掛金残高がマイナスということですので、基本的にありえません。借方残高になる時は、記帳誤りを確認する必要があります。
(5)残高欄
買掛金の残高をその日の最終行に記載します。
全ての仕入先に買掛金元帳が作成されている場合、買掛金元帳の買掛金残高の合計が総勘定元帳の買掛金残高の金額と一致していることを確かめます。
(6)締め切り方
買掛金元帳（仕入先元帳）は毎月末に締め切ります。
①摘要欄に合計と記入し、対応する借方欄と貸方欄には借方欄と貸方欄の合計額を記入します。
②摘要欄に赤字で「次月繰越」と記入し、対応する借方欄に買掛金残高を記入します。
③①と②の金額を合計し、借方と貸方の金額が一致していることを確認します。
④翌月初の記入として、摘要欄に「前月繰越」と記入し、対応する貸方欄及び残高欄に前月末の残高を記入します。
なお、次のように①の記載を省略することもあります。
買掛金元帳（仕入先元帳）の記入例
次の取引について仕訳をするとともに買掛金元帳（仕入先元帳）、総勘定元帳（T勘定）を作成してください。
| ６月１日 | A社買掛金前月末残高1,500,000円、B社買掛金前月末残高1,000,000円、C社買掛金残月末残高3,000,000円 |
| ６日 | A社から商品を2,500,000円（引取運賃は別途10,000円）で購入し、引き取り運賃含め全額掛けとした。 |
| ９日 | B社から商品を3,000,000円（引取運賃含む）で購入し、半額を小切手で支払い、半額掛けとした。 |
| 13日 | C社から商品を3,500,000円（引取運賃は別途30,000円）で購入し、商品代は全額掛けとし、引き取り運賃は現金で支払った。 |
| 16日 | A社買掛金1,100,000円を自己振出の約束手形で支払った。 |
| 17日 | B社買掛金1,000,000円を小切手で支払った。 |
| 23日 | C社買掛掛金3,000,000円を約束手形を裏書譲渡して支払った。 |
| 27日 | ６月６日にＡ社から仕入れた商品の半分を返品した。仕入時の引取運賃は半額仕入先負担とした。 |
| 29日 | ６月９日にB社から仕入れた商品の一部に品質不良があり300,000円の値引きをした。 |
| 30日 | C社からの仕入れが一定量を超えたため100,000円の仕入割戻しを受けた。 |
仕訳
６月２日
| (借) | 仕 入 | 2,510,000円 | (貸) | 売 上 | 2,510,000円 |
６月９日
| (借) | 仕 入 | 3,000,000円 | (貸) | 当座預金 | 1,500,000円 |
| (貸) | 買掛金 | 1,500,000円 |
６月13日
| (借) | 仕 入 | 3,530,000円 | (貸) | 現 金 | 30,000円 |
| (貸) | 買掛金 | 3,500,000円 |
６月16日
| (借) | 買掛金 | 1,100,000円 | (貸) | 支払手形 | 1,100,000円 |
６月17日
| (借) | 買掛金 | 1,000,000円 | (貸) | 当座預金 | 1,000,000円 |
６月23日
| (借) | 買掛金 | 3,000,000円 | (貸) | 受取手形 | 3,000,000円 |
６月27日
| (借) | 買掛金 | 1,255,000円 | (貸) | 仕 入 | 1,255,000円 |
６月29日
| (借) | 買掛金 | 300,000円 | (貸) | 仕 入 | 300,000円 |
６月30日
| (借) | 買掛金 | 100,000円 | (貸) | 仕 入 | 100,000円 |
A社の買掛金元帳残高1,655,000円、B社の買掛金元帳残高1,200,000円、C社の買掛金元帳残高3,400,000円の合計6,255,000円が総勘定元帳元帳残高6,255,000円と一致していることが確認できます。
買掛金明細表
買掛金について総勘定元帳への記入と買掛金元帳（仕入先元帳）への記入が正確に行われているかどうかを確認するため、また仕入先別の買掛金残高の一覧把握の手段として買掛金明細表を作成することがあります。
あくまで総勘定元帳と仕入先元帳との整合性を検証する機能が主ですので、特に決まった記載形式はありません。
買掛金元帳（仕入先元帳）の記入例に基づき、買掛金明細表を作成すると次のようになります。
買掛金明細表
| ６月１日 | ６月30日 | |
| A社 | 1,500,000円 | 1,655,000円 |
| B社 | 1,000,000円 | 1,200,000円 |
| C社 | 3,000,000円 | 3,400,000円 |
| 合計 | 5,500,000円 | 6,255,000円 |
