財務諸表(貸借対照表、損益計算)の作り方・作成方法 簿記3級独学講座

貸借対照表、損益計算の作り方・作成方法

会計帳簿を締め切った後に、外部報告用の財務諸表である貸借対照表、損益計算書を作成します。

貸借対照表は、一定時点(主に期末)における会社に属する現金・預金や受取手形、売掛金などの営業債権、建物などの固定資産、支払手形、買掛金などの営業債務、借入金、資本金などの財政状態を明らかにするものです。

損益計算書は、一会計期間において会社の営業活動の成果である収益から努力である費用を控除した経営成績を明らかにするものです。

貸借対照表と損益計算書の様式には、勘定式と報告式があります。

・勘定式
T字型の様式で、貸借対照表については左側に資産、右側に負債及び純資産(株主資本)を、損益計算書については左側に費用を右側に収益を記載します。

貸借対照表
資  産 ××× 負  債 ×××
純 資 産 ×××
××× ×××
損益計算書
費  用 ××× 収  益 ×××
当期純利益 ×××
××× ×××

・報告式
貸借対照表については上から下に資産、負債、純資産(株主資本)を記載し、損益計算書については上から下に収益から費用を控除する形式で記載します。
貸借対照表

資  産 ×××
×××
負  債 ×××
純 資 産 ×××

損益計算書

収  益 ×××
費  用 ×××
当期純利益 ×××

簿記検定においては勘定式が出題対象ですので、ここでは勘定式の貸借対照表、損益計算書の作り方・作成方法について説明します。

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貸借対照表の作り方・作成方法

貸借対照表は次のように作成します。

  1. 総勘定元帳の次期繰越の金額もしくは繰越試算表の金額をもとに作成します。
  2. 決算日を記載します。
  3. 資産、負債、純資産の部に区分します。
  4. 貸倒引当金と減価償却累計額は負債ではなく、原則として資産から控除する形式で記載します。負債に記載されることもあります。
  5. 帳簿上の「繰越商品」勘定は、貸借対照表上は「商品」と表示します。
  6. 前払利息や前払保険料、未払利息、未払給料、未収利息などは、貸借対照表上は「前払費用」「未払費用」「未収収益」「前受収益」として表示します。

貸借対照表の作成具体例

総勘定元帳の資産、負債、純資産勘定の時期繰越額は次の通りとし、上記の手続に基づき貸借対照表を作成します。

勘定科目 金  額
現  金 350,000円
普通預金 2,500,000円
売 掛 金 3,000,000円
繰越商品 1,500,000円
前払家賃 250,000円
未収利息 30,000円
建  物 8,000,000円
土  地 10,000,000円
貸 付 金 5,000,000円
支払手形 3,600,000円
買 掛 金 4,000,000円
未払利息 200,000円
前受家賃 500,000円
借 入 金 10,000,000円
貸倒引当金 330,000円
減価償却累計額 800,000円
資 本 金 5,000,000円
繰越利益剰余金 6,200,000円


貸借対照表は次のように、「繰越商品」を「商品」に振り替え、「貸倒引当金」、「減価償却累計額」を資産の控除項目とし、経過勘定については「前払費用」「未収収益」「未払費用」「前受収益」としてまとめて表示します。

貸借対照表
㈱ABC 20××年3月31日 単位:円
資 産  金  額 負債・純資産 金  額
現  金 350,000 支払手形 3,600,000
普通預金 2,500,000 買 掛 金 4,000,000
売 掛 金 3,000,000 未払費用 200,000
 貸倒引当金 △330,000 2,670,000 前受収益 500,000
商  品 1,500,000 借入金 10,000,000
前払費用 250,000 資 本 金 5,000,000
未収収益 30,000 繰越利益剰余金 6,200,000
建物 8,000,000
 減価償却累計額 △800,000 7,200,000
土地 10,000,000
貸付金 5,000,000
合計 29,500,000 合計 29,500,000

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損益計算書の作り方・作成方法

損益計算書は次のように作成します。

  1. 損益勘定をもとに作成します。
  2. 損益勘定では当期純利益は繰越利益に振り替えられますので、損益勘定では当期純利益は繰越利益剰余金として表示されますが、損益計算書上は「当期純利益」として表示されます(赤字の場合は「当期純損失」)。
  3. 会計期間を記載します。
  4. 売上勘定は「売上高」として表示されます。
  5. 総勘定元帳の仕入勘定で算定されている売上原価は、損益計算書では「売上原価」として表示します。

損益計算書の作成具体例

損益勘定のは次の通りとし、上記の手続に基づき損益計算書を作成します。

損  益
3/31 仕  入 15,000,000円 3/31 売  上 30,000,000円
給  料 3,000,000円 受取家賃 500,000円
保 険 料 400,000円 受取利息 30,000円
旅費交通費 30,000円
消耗品費 100,000円
地代家賃 3,500,000円
貸倒引当金繰入 150,000円
減価償却費 500,000円
支払利息 300,000円
繰越利益剰余金 7,550,000円
合  計 30,530,000円 合  計 30,530,000円


損益計算書は次のように、損益勘定の「仕入」を「売上原価」に「繰越利益剰余金」を「当期純利益」にしたものとなります。

損益計算書
㈱ABC 20××年4月1日~20××年3月31日 単位:円
費  用 金  額 収  益 金  額
売上原価 15,000,000 売上高 30,000,000
保 険 料 400,000 受取家賃 500,000
旅費交通費 30,000 受取利息 30,000
消耗品費 100,000
地代家賃 3,500,000
貸倒引当金繰入 150,000
減価償却費 500,000
支払利息 300,000
当期純利益 7,550,000
合  計 30,530,000 合  計 30,530,000