ルーターとは?役割・必要性を図解で解説
「インターネット回線のことは難しくてよくわからない…」
「無線LANルーター・ハブ・中継器などの専門用語ばかりでチンプンカンプン」
「ルーターを買わないといけないけどそもそもルーターの役割がわからない…」
こういった通信に関するお悩みありますよね。
扱っているものが、電波や回線など普段の生活では見慣れないものなので仕方がないことと思います。
筆者は以前、周辺機器メーカーに勤務していました。
周辺機器と言えば、ルーター、ハードディスク、キーボード、マウスなどいろいろあります。
しかし断トツでお客様からご質問を頂くのがルーターに関する質問です。
ルーターに関して「わかりにくい」という声をたくさん聞いてきました。
本記事では、そんなお悩みを解決するために、ルーターに関する基礎的なお話からしたいと思います。
ルーターとは何か?という問いに丁寧に答えるとともに、さらにルーターと中継器の違いを解説します。
Ⅰ.ルーターとは
ルーターとは一言で表すと「通信の経路を決めてくれる機器」です。
これだけではわかりづらいと思うので順を追ってご説明します。
まずは、インターネットを利用するためには3つのステップを踏む必要があります。
1.回線業者とプロバイダにインターネット契約を申し込む
2.回線ケーブルとルーターを繋ぎPC・スマホまでの通信経路を決める
3.PC・スマホなどでインターネットを閲覧する
1.回線業者とプロバイダにインターネット契約を申し込む
インターネットは無料で使うことはできません。
「回線業者」と「プロバイダ」にインターネット契約を申し込む必要があります。
NTT系列が提供するフレッツ光やキャリアのKDDIが提供するau光などが回線業者にあたります。
そして、その回線を使ってインターネットに繋げる役割を担うのがプロバイダです。
So-netやYahoo!BBなどがそれにあたります。
「回線業者」と「プロバイダ」にインターネット契約を結ぶことで、はじめてインターネットを利用する権利が得られます。
2.回線ケーブルとルーターを繋ぎPC・スマホまでの通信経路を決める
プロバイダとNTTフレッツ光などの回線業者とインターネットの利用契約をすると、外から家の中までケーブル線を導入する工事をしてもらいます。
その後、ケーブル線とルーターを接続し、ルーターとインターネットを閲覧するデバイス(PCなど)を接続します。
例えば、無線ルーターを使ってルーターとスマホを接続する場合の手順を説明します。
無線ルーターから発信されている電波をスマホで受信し、パスワードを打ち込むことによって接続完了となります。
お店や施設などの公共の電波とは異なり、家で扱う電波に関してはセキュリティ面での安全性からパスワードが掛けられていますので、パスワードを打ち込む作業が必要になります。
このとき、無線ルーターに割り振られているSSIDと呼ばれる記号を確認する必要があります。
というのも、スマホが受信する電波というのは自宅の無線ルーターが発信する電波だけではありません。
他の家の電波が漏洩しているかもしれませんし、公共の電波が自宅に入り込んでいるかもしれません。
スマホには、受信する電波ごとにSSIDと呼ばれる記号が表示されます。
このSSIIDが自身の無線ルーターであることを確認したうえで、SSIDに対応したパスワードを入力することで無事接続完了となります。
このようにして、ルーターとデバイス(PC・スマホ)までの通信経路が決まります。
3.PC・スマホなどでインターネットを閲覧する
正しくルーターとPC・スマホが接続されていることを確認できたら、インターネットを閲覧することができるようになります。
ここでは、主に使うデバイスとしてPC・スマホを取り上げましたが、近年ではテレビやエアコンなどの白物家電へもルーターを使ってインターネットに接続できるようになってきました。
これらテレビや白物家電を、ルーターを使ってインターネットに接続すると「テレビを有線ではなく無線で繋ぐこと」ができたり「エアコンをスマホで操作すること」ができたりします。
これが回線業者とプロバイダに契約申し込みしたときの、インターネットを利用できるまでの基本的な流れです。
ちなみに、スマホが外でも使えるのは4G回線に繋がっているからです。
4G回線というのは、第4世代移動通信システムのことで、各携帯会社は街に基地局を設置しており、それを使ってインターネットに繋がるシステムになっています。
4G回線などの家の外でも使える回線では使いすぎると通信制限にかかってしまいますよね。
通信制限を気にして「外では動画などの通信量の多いサービスは見ない」という人も多いのではないでしょうか。
これは、もし通信制限がなくなるとみんなが使い放題の状態になってしまい、基地局がパンクしてしまうリスクがあるからです。
それに対して、自宅にインターネット回線を引いてルーター経由でインターネットを閲覧する場合は、4G回線とは他の回線を使うことになるので、通信量が無制限で通信制限にかからないことが特徴です。
Ⅱ.ルーターの必要性・役割
インターネットを利用するまでの流れを説明したうえで、改めてルーターの必要性・役割に対して詳しく解説します。
冒頭でルーターとは「通信の経路を決めてくれる機器」と説明しましたが、ルーターは「経路=ルート」を決める機器なのでルーターと呼ばれています。
経路を決めるとは一体どういうことか。
例えば、Aさんが使っているスマホから送受信する情報も、Bさんが使っているPCから送受信する情報も家と外部を繋ぐ1本のケーブルを通して送受信されます。
このとき「この情報はAさんのスマホ行きの情報」「この情報はBさんのPC行きの情報」と振り分ける機能を持ちあわせているのがルーターです。
貨物列車で例えると「線路が通信経路」「線路をスイッチする分岐器がルーター」「終着駅がPC・スマホなどのデバイス」「積まれている荷物が情報データ」といったところです。
PCやスマホというのはIPアドレスと呼ばれる番号がつけられています。
アドレスというと住所を想像しますよね。
全世界におけるPCやスマホの住所を表すのがIPアドレスです。
インターネットの情報には「この情報はIPアドレス=〇〇に送って!」といった情報も含まれているので、これをルーターが判別して通信経路を決定することになります。
逆にデバイス側からインターネットに情報を送る際の情報内にもIPアドレスが含まれることになります。
また、回線ケーブルとルーターの間には「光回線終端装置」または「モデム」という機器を設置する必要があります。
これらは、回線ケーブルを通して送受信する信号をPC・スマホなどのデバイスに使える信号に変換する機器です。
もし、ルーターがなかったとしたら回線ケーブルと「光回線終端装置」または「モデム」を通して、PCなどのデバイスと1対1で繋ぐことになります。
スマホとルーターを接続するときは線を使わない無線ルーターを使うのが一般的です。
実はルーターには「有線ルーター」と「無線ルーター」の2つがあります。
それら2つの違いは、文字通り線が「ある」か「ない」かの違いです。
一昔前までは、インターネットを使うデバイスと言えばパソコンが主流でした。
その頃は、有線ルーターとパソコンを繋いでいましたが、今は一般的にはスマホと接続するために無線ルーターが使われています。
ちなみに、デスクトップパソコンなどの動かすことが少ないデバイスに対してはまだ有線ルーターが使われていることがあります。
インターネットの通信速度は主に「回線の速度」「ルーターの性能」「PC・スマホなどのデバイスの性能」の3つの要素によって決まります。
このいずれかが1つだけでも規格が古かったりしたら、通信速度は遅くなります。
新しい規格に対応したルーターが続々と発売されました。
逆にいうと、規格が変わるまでは「壊れて繋がらない」など余程の理由がない限りは、買い替えはおすすめしません。
Ⅲ.ルーターと中継器の違い
無線ルーターを使った場合に問題となるのが、ルーターから発信される電波がPC・スマホなどのデバイスに到達するまでに弱ってしまい、繋がりにくくなるという問題です。
これは、階をまたぐような大きい家に住んでいると起こりやすい問題です。
こんなときは「中継器」を使うことが有効です。
中継器とは文字通り、無線ルーターからの電波を中継する役割を担っています。
役割を一言で表すと「電波の橋渡しをしてくれる機器」です。
弱った電波を中継器によって増幅することで強度の強い電波を各デバイスに届けることができます。
どうしても一軒家のよう大きな家に住んでいると電波が壁をまたぐことになりますよね。
電波は空気中を伝搬するだけで減衰していくものですが、壁などの障害物をまたぐと一気に減衰します。
1階にルーターを設置したとき「2階にあがって動画をみるなど通信量の多いサービスを使うと表示速度が遅くなった」なんて経験をしたことがある人も多いと思います。
それは、部屋の扉などの物理的な障害が電波を減衰させた影響が大きいと考えられます。
なお、問題が顕著となる無線ルーターの場合を説明しましたが、有線ルーターを利用しているときでも比較的距離が長くなると通信速度が落ちてしまいます。
このときは、ルーターと中継器間・中継器とPC間を有線でつなぐ中継器もあるので、そちらを使って通信速度を維持することをおすすめします。
中継器の使い方はコンセントに差すタイプが主流です。
中継器は、ルーターからの電波を受信する設定と、中継器からPC・スマホなどのデバイスに繋ぐ設定の2つがあります。
よって中継器は、ルーターとPC・スマホなどのデバイスの2つと繋がることになります。
ここで中継器を選ぶポイントになるのが「デュアルバンド同時接続」であるかどうかです。
「デュアルバンド」とは「二重の帯域」ということです。
つまり、ルーターとPC・スマホを同時に接続することができます。
対して、シングルバンド接続の中継器はルーターに接続した後にPC・スマホなどのデバイスに接続するなど、交互に接続していくため単純計算すると2倍遅くなります。