財政状態とは?財政状態を表すには?
財政状態とは?
財政状態とは、ある一定時点における、現金預金や売上債権、貸付金、有価証券、不動産など会社の所有する財産(資産)と仕入代金や経費の未払、借入金など支払わなければならない義務(負債)、資産と負債の差額として自由に使える財産を表す純資産(自己資本)の状況のことです。
すなわち、何をいくら持っていて、誰にいくら返さなければならないか、その結果として自由に使えるお金はいくらなのかということです。
これを資金の調達、運用面からいうと、事業に投下した資金をどこから、どのように受け入れ(負債、純資産)、資金をどのようなものに使っているか(資産)ということになります。
純資産=資産-負債
という等式が必ず成り立ち、簿記ではこの等式を資本等式とよんでいます。
資産、負債、純資産(資本)の内容
資産
事業のために所有する財産をいい、下記のようなものがあります。資産とは資産に属する科目の総称です。
①現金や在庫、不動産のような金銭で評価できる財貨
現金
製品、商品などの棚卸資産
株式、社債などの有価証券など
②外部から金銭を受け取ることのできる権利
受取手形
売掛金
未収入金
貸付金
敷金など
負債
将来、外部に金銭を支払わなければならない義務をいい、下記のようなものがあります。負債とは負債に属する科目の総称です。
支払手形
買掛金
前受金
未払金
借入金
預り金など
純資産・資本
資産から負債を差し引いた残額です。
純資産の項目には資本金、資本準備金、利益準備金、繰越利益剰余金などありますが、簿記3級では純資産=資本として取り扱われます。
財政状態を表す貸借対照表
財政状態は貸借対照表により示されます。
貸借対照表では資産を左側(借方)、負債、純資産(資本)を右側(貸方)に記載します。
・事例
株式会社のABC社の期末日は3月31日、会計期間は4月1日~3月31日です。
×1年4月1日~×2年3月31日までの経営活動は下記の通りです。
4月1日:5,000,000円の元入れで会社設立。
5月10日:銀行より10,000,000円借入。
6月5日:土地を3,000,000円で購入。支払は翌年とした。
8月15日:商品を1,000,000円で掛けで仕入。
貸借対照表の作り方
貸借対照表は、所有する資産を左側(借方)、負債、純資産(資本)を右側(貸方)に記載しますので、先程の事例を仕訳、貸借対照表で示すと次のようになります。
日付 | 勘定科目 | 金額 | 勘定科目 | 金額 |
4月1日 | 現金 | 5,000,000 | 資本金 | 5,000,000 |
5月10日 | 現金 | 10,000,000 | 借入金 | 10,000,000 |
6月5日 | 土地 | 3,000,000 | 未払金 | 3,000,000 |
8月15日 | 商品 | 1,000,000 | 買掛金 | 1,000,000 |
貸借対照表 | |||
ABC株式会社 ×2年3月31日現在 | |||
(借方)勘定科目 | 金額 | (貸方)勘定科目 | 金額 |
現金 | 15,000,000 | 買掛金 | 1,000,000 |
土地 | 3,000,000 | 未払金 | 3,000,000 |
商品 | 1,000,000 | 借入金 | 10,000,000 |
負債合計 | 14,000,000 | ||
資本金 | 5,000,000 | ||
純資産(資本)合計 | 5,000,000 | ||
資産合計 | 19,000,000 | 負債・純資産合計 | 19,000,000 |
実際には、損益計算の結果が貸借対照表に引き継がれ、純資産に計上されますので、純資産は資本金だけではありませんが、今回の事例では損益にかかわる取引がありませんので、純資産(資本)は資本金と同じになります。
貸借対照表と損益計算書との関係については「貸借対照表と損益計算書の関係。」。